交通事故で負った傷跡や、過去に自分で傷つけてしまった傷跡など「一生傷跡として残るのか…」と諦めてはいませんか?
傷の種類にもよりますが、傷跡をより目立たなくしたり症状を完治させたりと、現代の医療は進歩しています。
今回は、傷跡の種類や治療法についてご紹介します。各治療法のメリット・デメリットもご説明しますので参考にしてください。
傷跡の種類
まず、傷跡を大きく4つに分けると「成熟瘢痕」「肥厚性瘢痕」「ケロイド」「瘢痕拘縮」となります。
成熟瘢痕(せいじゅくはんこん)
傷が治ってからしばらく時間がたった跡の白くなった傷跡のことを成熟瘢痕(せいじゅくはんこん)と言います。子供の頃に怪我した部分やニキビ跡、リストカットの跡なども同じです。
一般的に、深い傷だった場合や浅くても広範囲の傷は目立つ成熟瘢痕になります。時には、傷跡が白い盛り上がりを見せている場合もあり、その症状は人それぞれです。
また、成熟瘢痕は痛みも痒みもほとんどない状態です。もしも成熟瘢痕を手術して直すとしたら、痛みも痒みもない「見た目の問題」になりますので保険適用外になることが多いです。
肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)
肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)とは、赤いまま盛り上がっていてミミズ腫れのような傷跡のことです。主に、深い傷や関節部分にできた傷跡が肥厚性瘢痕になることがあります。
肥厚性瘢痕は、完全に炎症が治るまでに「平均1.5年」かかるため治りにくいのが特徴です。それは、関節部分にできた肥厚性瘢痕が、関節を動かすたびに中で炎症が起こってしまうからと考えられます。関節を動かすたびに引っ張られ、なかなか傷が治りません。
ケロイド
先にご説明した肥厚性瘢痕よりも重要な症状がケロイドです。
肥厚性瘢痕よりもさらに赤く腫れ上がってしまいます。ケロイドの特徴は、肥厚性瘢痕と違い、何の治療もしなければだんだん大きく成長してしまうことです。
また、人間の体質上、「ケロイド体質」の方もいます。ケロイド体質の方は、特に大きな傷跡がなくても、小さな切り傷を放置するだけで、ケロイドになってしまうことが多いです。
具体的には、ピアスを開けた耳たぶ、ニキビ跡、BCG注射の跡、帝王切開した下腹部など原因は数多くあります。
このケロイド体質は、小さい頃から体質を持っている方もいれば、高齢者になってから発症する方もいてさまざまです。このため、ケロイド体質の方は、傷跡が大きくなりやすく、かつ治りにくいと言えるでしょう。
しかし、現代では、早期治療を行うことでケロイド体質を改善できたり、ケロイドの傷跡を目立たないレベルにまでなくすことができるようになったりしてきています。
ケロイド体質でお悩みの方は、皮膚科や形成外科、当院のような美容外科へ来院してみましょう。
瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)
瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)とは、傷跡の引きつれのことです。長い期間効果の薄い治療を受け続けてしまったり、肥厚性瘢痕やケロイドを治療せずに放っておいたりしてしまうと瘢痕拘縮になってしまいます。
徐々に線維(糸状の細い細胞で作られている組織のこと)が蓄積され、関節部分などで傷跡の引きつれを起こします。瘢痕拘縮になってしまうと、傷跡部分を動かす際に引きつって動かしにくくなるなど、痛みを伴う場合もあるのです。
また、瘢痕拘縮で固くなってしまった組織を柔らかくするまでには非常に長い時間を要し、時には手術することになるかもしれません。
傷跡の治療法:手術する方法
傷跡の種類についてお分かりいただいたところで、その傷跡を「手術」によって治療する方法をご紹介していきます。
一口に手術といっても、手術の種類はたくさんあります。各手術のメリット・デメリットも併せてご説明します。
摘出術
肥厚性瘢痕やケロイドの皮膚部分を摘出する手術です。
メリット
手術にて肥厚性瘢痕やケロイドを完治させられることは可能だと言われています。
近年まで、「ケロイドは手術しない」という考え方でした。なぜならば、ケロイドは再発率が高く手術跡からさらに大きなケロイドができてしまうと考えられていたからです。
しかし、術中の縫い方の工夫や術後の放射線治療でケロイドの再発防止医療が発達し、今では、再発のリスクが限りなく低く、完治させることが可能になりました。
デメリット
手術ということで、不安になる患者様も大勢いらっしゃいます。傷跡を治すために、さらに手術をして傷跡ができてしまうのではないかと考えてしまう方も多いです。
しかし、手術跡は、レーザー治療等で消すことができ、手術前には、必ず医師からの説明がありますので、安心して治療を受けることが可能です。
縫合法
摘出術にて、肥厚性瘢痕やケロイドを切除した後に、傷跡を縫い合わせる手術です。
メリット
ケロイドが再発しないように縫い合わせることで、今後再発する可能性をきわめて低くします。深い部分でしっかりと縫い合わせ肥厚性瘢痕やケロイドができる真皮に力がかからないように工夫しています。
デメリット
縫合法のデメリットとしては、ケロイドの再発を防止することを第一優先に縫い合わせていくため見た目があまり良くないことです。
傷の方向を考え、初めから盛り上げて丁寧に塗っていきます。術後すぐは、皮膚に凹凸ができてしまうリスクが高いです。
傷跡の治療法:手術しない方法
続いて、手術しない傷跡の治療法をご紹介していきます。手術しないため、新たに傷ができるとこもありませんし気軽に行える治療法です。
飲み薬での治療
飲み薬では、トラニラストという成分が有効であるとされています。薬の名前は「リザベン(先発品)」です。トラニラストは、肥厚性瘢痕やケロイドが原因の自覚症状や病変自体の沈静化をしてくれると考えられています。
トラニラストの他には、漢方薬の「柴苓湯(さいれいとう)」が使われることもあります。
メリット
飲み薬は、比較的気軽に始められる傷跡治療法です。また、飲み薬自体には痛みを伴うこともありません。通常の薬を飲む時と同じような治療法になります。
デメリット
飲み薬の治療法は、あまり効果が強くないため基本的には他の治療法と併用して行われます。また、完治するまでの長い期間、飲み続けなければならないという負担を感じる方も多いです。
塗り薬での治療
塗り薬には、「アンテベート軟膏・クリーム」などのステロイド軟膏や非ステロイド系抗炎症剤、よく傷跡の補正や保湿に使われるヘパリン類似物質である「ヒルドイド軟膏・クリーム」が主に使われます。
メリット
塗り薬は、飲み薬よりもさらに気軽に行える治療だと感じる方が多いです。ただし、ステロイド系の塗り薬の場合には、患部だけに塗るように注意する必要があります。
患部でないところに誤って塗ってしまうと、かぶれや赤みが出る可能性があります。
デメリット
塗り薬での治療は、症状の軽い肥厚性瘢痕は完治する可能性がありますが、症状が重いとされているケロイドは完治できません。
そのため、ケロイドの方は、塗り薬だけの治療は難しいとされています。
貼り薬での治療
貼り薬の治療薬は、ステロイド系である「ドレニゾンテープ」や「エクラープラスター」を使用します。
特に、皮膚が分厚い成人に関してはエクラープラスターが有効です。一方、小児や高齢者の方は皮膚が薄いためドレニゾンテープが良いとされています。
メリット
貼り薬も比較的気楽な治療法です。傷跡の場所にもよりますが、自分で貼ったり剥がしたりするのが問題ない場所だと、ストレスなく治療することができるでしょう。
デメリット
貼り薬の場合、1日1回の貼り替えが基本になります。皮膚が弱い方は、かぶれてしまうことがあるので注意してください。
注射での治療
「ケナコルト」というステロイド系の注射をする治療方法です。注射の治療方法は、効果が強く早く現れるため、赤みや盛り上がり、痛み、痒みなどの自覚症状が比較的早く改善されるでしょう。
メリット
症状の緩和を比較的早く実感できます。また、毎日薬を飲んだり塗り薬を塗ったりする手間がありません。
デメリット
注射の治療方法は、効果が強すぎて凹んだ瘢痕になってしまう可能性があります。
また、ステロイドを直接打ち込むため、周りの皮膚が薄くなって毛細血管が広がってしまうことも考えられます。
女性の場合は、ステロイドの影響で生理不順になってしまうこともありますので注意が必要です。さらに注射を打つ際には、硬くなった瘢痕に差し込むため、熟練の技師でないと痛みを伴う場合もあります。
レーザーでの治療
ケロイドの治療に効果的なのが「血管作動性レーザー」です。代表的なレーザーは、「Nd:YAGレーザー」ですが、現在は保険適用外となっています。
メリット
自分で飲んだり貼ったりする治療ではないため、比較的楽に治療できます。傷跡だけではなく、シミの除去などにも効果的であるため、肌全体の再生を期待できます。
デメリット
先にも述べた通り、保険適用外のため実費になります。また、レーザーを当てた部分は「軽いやけど状態」となっているため、皮膚が完全に再生するまで塗り薬での対応が必須です。
また、治療中にはゴムで弾かれるような痛みが生じることがあるため、あらかじめ留意しておきましょう。
池袋サンシャイン美容外科の傷跡治療は
池袋サンシャイン美容外科では、さまざまな傷跡治療を行なっています。中でも、「スターラックス」と呼ばれるレーザーを使用し傷跡を治療する方法がおすすめです。
スターラックスは、1,540nmの波長でより深くの皮膚に届き、長い時間皮膚の再生とコラーゲンの生成を持続させます。このことから、リストカットや深い傷跡でも治療することが可能となりました。
またコラーゲンの生成も促すため、プルプルで艶のあるお肌を長時間持続させることができます。
スターラックスの他にも、患者様の症状に合わせた最適な治療を心がけておりますので、お気軽に池袋サンシャイン美容外科までお問い合わせください。
監修者情報
医療法人社団 栄真会
池袋サンシャイン美容外科
院長 鈴木 栄樹
日本美容外科学会正会員・認定医
日本美容外科医師会正会員
日本抗加齢医学正会員
<院長略歴>
95年 聖マリアンナ医科大学卒業
03-06年 医療法人博済会鈴木病院 美容外科外来開設
06年 池袋サンシャイン美容外科開設