交通事故に遭って後遺障害の申請はどうしたらいい?と、後遺障害について不安や悩みを抱える方は多いでしょう。
「交通事故総合分析センター」によると、平成30年度の交通事故発生件数は、43万件以上です。交通事故は、私たちの身近にあると考えられるような件数ですよね。
今回は、もしも交通事故に遭って後遺症が残ってしまった場合、後遺障害の申請はどのようにしたら良いかについて、認定基準も併せてご紹介していきます。
交通事故の「後遺症」と「後遺障害」は違う
「後遺症」と「後遺障害」と聞いて、同義であると捉えてしまう方は少なくありません。しかし、この2つの意味は異なります。
・後遺症
病気や怪我の治療が終わった後に残ってしまった症状や障害のこと
・後遺障害
後遺症の中でも、交通事故が原因と”証明”され、労働の能力が低下または喪失され、自賠責の等級に該当する障害のこと
つまり、後遺障害は、後遺症の中の一部ということです。
そして、交通事故で残ってしまった障害があったとしても、自賠責の等級に該当すると認められない場合は後遺障害として扱われません。
後遺障害に認められなければ、損害賠償請求が行えない場合もあります。そのため、後遺障害の認定を受けるために必要なことは何かを把握しておく必要があるでしょう。
交通事故の後遺障害として認定してもらうには?
交通事故の後遺障害を申請する場合、「書面で証明」する必要があります。
必要書類
- 自賠責保険支払請求書兼支払指図書
- 交通事故証明書、事故発生状況報告書
- 診療報酬明細書及び診断書(毎月発行されるもの)
- 後遺障害診断書
- レントゲン、MRI等の画像
後遺障害として認定してもらうには、上記5つの書類を「保険会社」に提出しなければなりません。後遺障害の等級に該当するかを判断するのが保険会社だからです。
また、レントゲン画像などで「目に見える症状」の場合は判断しやすいですが、痛みなどの「目に見えない症状」もしっかり記入しておかなければ判断できません。記入漏れや検査漏れなどがあった場合、大きな不利益を被ってしまうこともあるため注意しておきましょう。
後遺症の種類
後遺症といってもさまざまな症状があります。ここでは、比較的多い後遺症の一例をご説明します。
むち打ち損傷
交通事故などで外部からの強い衝撃によって、
頸部(首)の筋肉や椎間板等の軟骨組織や骨組織が損傷している状態です。
首や背中などに痛み・痺れ・めまい・吐き気・倦怠感・睡眠障害・情緒不安定などの症状を引き起こします。
低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)
脳と脊髄は「脳脊髄液」が満たされて閉鎖空間になっていることで、脳脊髄液に浮かんでいる状態です。
これが、外部からの衝撃によって穴が空き、脳脊髄液が漏れだしてしまうと、閉鎖空間であった脳脊髄腔内の圧が低下します。
頭痛・吐き気・1つの物が2つに見える・耳が聞こえづらい・首の痛み・視野が狭まる・めまいなどの症状を引き起こします。
高次脳機能障害
外部からの強い衝撃を脳に受けたことによって、脳の知的活動に障害が生じます。
起こりえる症状は、記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害・病識欠如です。
外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)
手足以外の、日常的に露出する場所が、人目に付く程度以上の傷痕になった状態です(頭部・顔面部・頸部など)。
精神的ショック・人前に出られなくなり働けないなどの症状のおそれがあります。
上肢機能障害
上肢部分の肩関節・肘関節・手関節のどれかが動かなくなる、または動きが制限されるようになってしまうことです。
また、肩関節・肘関節・手関節・手指関節の全てが動かない状態のことです。
症状は、腕や手先が動かせない、またはスムーズに動かせずに日常生活に支障をきたす、などが考えられます。
下肢機能障害
下肢部分の股関節・ひざ関節・足関節のどれかが動かなくなる、または動きが制限されるようになってしまうことです。
また、股関節・ひざ関節・足関節・足指関節の全てが動かない状態のことです。
足や足先が動かせない、またはスムーズに動かせずに日常生活に支障をきたす、といった症状が考えられます。
交通事故の後遺障害の認定率は「約5%」
先にもご説明した通り、全ての後遺症が後遺障害として認められるわけではありません。
後遺障害として認定してもらうには、必要書類を提出し、審査を受け、等級認定してもらう必要があります。
しかし、交通事故の後遺障害として認定される確率はたった「約5%」が現状と言われています。
後遺障害の認定機関として、最も大きな機関である「損害保険料率算出機構」で算出されている件数で計算してみると、認定率は約5%と非常に低いものになります。
後遺障害等級認定基準のポイント
ここで、後遺障害等級認定の基準を見ていきましょう。
どの部位に障害が残ってしまったのかで分類
その障害が「物理的」か「機能的」かを判断
例)物理的…足を切り落とした 機能的…足が動かなくなった
その障害によって、どのくらい労働能力が低下したか
例)視力がどのくらい低下してしまったか
これらを、保険会社が書類から判断し、認定するか否かを決めます。また、認定するとしたら「1?14級」のどの等級かを、障害の重さで判断します。
しかし、症状や障害の程度を数値化できないことから「認定するか否か」「どの等級にするか」など、審査の担当者によって判断が異なってくることもあるため、留意しておきましょう。
交通事故に遭ってしまったら…「後遺障害申請の流れ」
もしも、交通事故に遭ってしまい、後遺障害申請をしなくてはならない状況になった場合、どのような流れで後遺障害の申請をすれば良いのかについてご説明します。
まず、「被害者自身が申請手続を行う(以降、被害者請求)」場合と「交通事故の相手方の保険会社に申請手続をしてもらう(以降、事前認定)」場合があります。
しかし、被害者請求も事前請求も、基本的には申請の流れは変わりません。交通事故に遭ったあと、医師による治療が終了し「症状固定」の診断を受けてから、後遺障害申請が行えるようになります。
症状固定とは、「このまま治療を続けても症状が改善されない」と医師が判断することです。多くの場合、治療開始から半年ほど経過すると症状固定の診断を受けることになります。
後遺障害申請の流れ
また、被害者が自分自身で被害者請求を行えないような後遺症がある場合には、代理人を立てて後遺障害申請を行うことができます。(成年後見制度という)
被害者請求がおすすめ
被害者請求は、自分自身で後遺障害申請を行わなければならないため、確かに面倒に感じるかもしれません。しかし、自身で行うことによって正しい等級認定がなされるだけではなく、事前認定よりも早く自賠責保険金が振り込まれるメリットがあります。
被害者請求の場合、「後遺障害申請の流れ」にある、自賠責保険会社から等級認定の結果が通知されるとともに、賠償金の一部として指定した口座に自賠責保険金が振り込まれます。
一方、事前認定の場合は、相手方保険会社との損害賠償に関する示談交渉が全て終わるまでは、自賠責保険金が振り込まれることはありません。
このように、精神的にも金銭的にもダメージを受けている状態で、自賠責保険金の振込が遅くなることはなるべく避けたいですよね。したがって、もしも後遺障害申請を行う場合には、被害者請求がおすすめです。
交通事故での傷跡が気になる方は「池袋サンシャイン美容外科」へ
今回は、交通事故に遭われてしまったときに行う「後遺障害申請」の流れや認定ポイントについてご紹介してきました。
事故に遭われた直後は、まだ申請のことは考える余裕がないかもしれません。治療に専念したり、精神的ダメージを受けていたりで苦しい方も多いはずです。
しかし、後遺障害認定は、今後の生活や治療において非常に重要な手続です。事故に遭われた際には、後遺障害申請では何が必要なのかを調べ、正しい等級で認定してもらえるようにしておきましょう。
交通事故で、身体に傷痕が残ってしまい気になされている方は、ぜひ「池袋サンシャイン美容外科」にお気軽にお問い合わせください。また、後遺障害申請などのお手続きのサポートも承っております。「一人では何をしたら良いのかわからない…」という方も、当院にお気軽にご相談ください。
監修者情報
医療法人社団 栄真会
池袋サンシャイン美容外科
院長 鈴木 栄樹
日本美容外科学会正会員・認定医
日本美容外科医師会正会員
日本抗加齢医学正会員
<院長略歴>
95年 聖マリアンナ医科大学卒業
03-06年 医療法人博済会鈴木病院 美容外科外来開設
06年 池袋サンシャイン美容外科開設