私たちは、日々の生活の中で誰しも傷を負うリスクを背負っています。
軽いかすり傷程度であれば、時間の経過と共に自然と治癒することがほとんどですが、大きな傷や深い傷は傷跡として残ってしまう場合も少なくありません。
特に、顔などの目立つ場所に出来た傷跡はとても気になるものです。
こちらの記事では、傷跡を改善する効果のある張り薬や、その他の治療法について詳しく解説します。
傷跡とは
傷跡には、ほとんど目立たないものから外見的に大きな問題となるものまで、さまざまな種類が存在します。
また、傷跡ができる原因も、単なる切り傷やすり傷から、刺し傷、やけど、事故による怪我などさまざまです。
一般的には、深い傷ほど大きな傷跡になりやすい傾向があります。
ただし、原因や体質によっては、小さな傷であってもケロイドなどの目立つ傷跡になってしまうケースがあります。
できるだけ傷跡を残さないためには、種類や原因に応じて、適切な治療を行うことが大切です。
傷跡の種類は何で決まる?
傷跡の種類は、その傷跡がどのような経過を辿るかによって左右されます。
以下に主な傷跡の種類をご紹介します。
成熟瘢痕
最初の内は赤みを帯びていた傷跡が、時間の経過と共に肌色に近い白色に近づいていったものを「成熟瘢痕」と呼びます。
成熟瘢痕は単なる見た目の問題であるため、保険診療の適用にならないケースも少なくありません。
肥厚性瘢痕
「肥厚性瘢痕」はミミズ腫れのように赤く盛り上がった傷跡のことです。
深い傷や、関節など動く場所に出来た傷は炎症がなかなか沈静化せず、肥厚性瘢痕になるリスクが高まります。
肥厚性瘢痕は治らない?
一般的な傷跡に比べると、肥厚性瘢痕は傷口が治癒するまでに長い時間がかかるため「このまま治らないのでは」と不安になる人も多いかと思います。
肥厚性瘢痕が治癒するまでには1年〜5年ほどの時間がかかる場合もありますが、ほとんどのケースでは、時間の経過と共に炎症もおさまっていきます。
ただし、あまりにも治りが悪い場合や、患部の状態がさらに悪化するような場合は、より重症な「ケロイド」を引き起こしている可能性もあります。
ケロイド
肥厚性瘢痕よりもさらに強い炎症を起こした状態が「ケロイド」です。
前述の成熟性瘢痕や肥厚性瘢痕とは異なり、ひとたびケロイドになってしまうと、自然治癒を期待するのは難しくなります。
ケロイドとは
ケロイドとは、強い炎症がなかなか治まらない傷跡のことです。
通常の傷跡は時間が経過するに従って徐々に治癒していきますが、ケロイドの場合は逆に周囲へと炎症が広がっていく場合もあります。
ケロイドの発症には遺伝的な体質のほか、妊娠や女性ホルモン、高血圧、全身の炎症、過度の飲酒や運動などが関わっています。
瘢痕拘縮
肥厚性瘢痕やケロイドを放置したり、不適切な治療を続けたりすると、徐々に患部に繊維が蓄積して硬くなり、引きつれた状態になることがあります。
この状態を「瘢痕拘縮」と呼びます。
関節などが瘢痕拘縮を起こすと、日常の動作にも支障が生じる恐れがあります。
その場合は手術による治療も視野に入れる必要が出てきます。
効果が抜群と言われる傷跡への張り薬とは
傷跡の治療にはいくつかの方法がありますが、その中でも手軽に行えて効果が高いとされるのが張り薬による治療です。
医療機関に通うことなく、傷跡を目立たなくさせることができるため、多くの人が第一段階の治療としてよく取り入れています。
傷跡を消すには張り薬が有効
比較的軽度の傷跡であれば、張り薬によって消す、あるいは症状を改善させることが可能です。
傷跡の治療に有効とされる主な張り薬には、以下のようなものがあります。
ドレニゾンテープ
炎症を抑える作用のあるステロイドが配合されたテープです。
薄く透明な素材で出来ているため、顔面などに貼っても目立ちにくく、また小児にも使いやすいとされています。
エクラープラスター
ドレニゾンテープよりも効果の強いステロイドテープです。
皮膚が厚い大人にも高い効果を発揮するため、保存的治療に重用されています。
継続的に使用することで傷跡の改善に大いに役立ちます。
ドレッシング材
やけどで出来た傷に有効な張り薬です。
ドレッシング材で傷口を覆うことにより、傷を治すために必要な湿潤環境の維持、傷口への刺激の緩和、感染予防などの効果が期待できます。
ただし、ドレッシング材を使用できるのは皮膚が壊死しておらず、感染リスクが少ない達浅度のやけどまでとされています。
張り薬以外の治療法
傷跡の治療には、張り薬以外の方法も用いられます。
張り薬のみでは治療が難しい傷跡も、複数の方法を組み合わせることで、症状を改善できるケースは少なくありません。
塗り薬
炎症を抑える効果のあるステロイド軟膏やクリーム、さらには非ステロイド系の抗炎症剤やヒルドイドソフト軟膏などが用いられます。
比較的程度の軽い傷跡に有効です。
飲み薬
抗アレルギー剤のトラニラスト(リザベン)は、肥厚性瘢痕やケロイドに生じる痒みや痛みの沈静化、そして炎症自体の沈静化に効果があるとされています。
単体での効果は強くないため、他の治療と組み合わせて用いられます。
注射
ケロイドに対しては、ステロイド(ケナコルト)の注射が効果的です。
注射によって、赤みや盛り上がり、痒みなどの症状を軽減させることができます。
しかし、効果が強く出すぎると逆に皮膚が陥没してしまうケースがあるため、使用には細心の注意が必要です。
レーザー
医療用レーザーを照射することで皮膚の再生が促され、色素沈着や盛り上がりの改善が期待できます。
前述の張り薬による治療と併せて行うことで、より高い治療効果を得ることができます。
手術
上記の治療法では十分な効果が望めない場合は、手術による治療も選択肢の一つになります。
患部を外科的に切除し、再縫合することで傷跡を小さくする傷跡修正手術などが行われます。
ただし、ケロイド体質の人の場合は、手術を行うことで却って傷跡が大きくなる恐れもあるため、適応に関しては医師による慎重な判断が必要です。
まとめると以下のようになります。
治療法 | 効用や向いている傷跡 |
---|---|
塗り薬 | 肥厚性瘢痕やケロイドに生じる痒みや痛みの沈静化・炎症自体の沈静化に効果があるが、 単体での効果は強くない。 |
注射 | 赤みや盛り上がり、痒みなどの症状を軽減させる。 |
レーザー | 色素沈着や盛り上がりの改善が期待。 |
手術 | 患部を外科的に切除するため、効果が確実。 |
池袋サンシャイン美容外科の傷跡治療
池袋サンシャイン美容外科では、交通事故や傷害、リストカット跡、火傷跡、手術跡など、さまざまな傷跡の治療を行っています。
なかでも、上記にご紹介した張り薬とスターラックスによるレーザー治療を組み合わせることで、大きな効果を得ることができます。
併用することで大幅に傷跡が綺麗になる例もありますので、張り薬だけの傷跡治療が効いていない場合には、レーザー治療や手術の併用も検討してみましょう。
当院が行っている主な傷跡治療は以下の通りです。
レーザー治療
池袋サンシャイン美容外科では、スターラックス1540という医療用のレーザー機器を導入し、傷跡の治療に用いています。
スターラックス1540にはお肌の生まれ変わりを促す作用があり、患部にレーザーを照射することで傷跡の盛り上がりや色素沈着などを改善する効果が期待できます。
また、従来のレーザーに比べて照射時の痛みが劇的に軽減されているため、痛みに弱い人でも安心して治療を受けられます。
それでも痛みが心配な場合は、施術時に表面麻酔(約15分程度)を行うことも可能です。
一般的な傷跡では月に一度のペースで5回程度の照射を行います。
一回の照射にかかる時間は、5cm×5cm程度の傷跡で約30分です。
照射後は日焼けをした後のような赤み・痛みがある場合もありますが、日常生活には支障のないレベルです。
傷跡修正手術
傷跡が大きい、ケロイドが酷いなど、レーザー治療だけでは十分に改善が見込めないケースに関しては、傷跡修正手術による外科的治療も行っています。
傷跡修正手術では、ケロイド部分や傷跡部分を外科的に切除し、丁寧に再縫合することで、傷跡自体を小さく修正します。
さらに、手術後の患部にスターラックス照射を行えば、修正後の傷跡をよりきれいに治癒させることも可能です。
池袋サンシャイン美容外科では、上記以外にも、飲み薬、塗り薬、注射など、症状に応じた治療法を組み合わせることにより、傷跡の改善に力を注いでいます。
多角的な視点から、どういった方法での傷跡治療が、患者様に最も効果的な施術をご提案致しますので、まずはお気軽にご来院ください。
監修者情報
医療法人社団 栄真会
池袋サンシャイン美容外科
院長 鈴木 栄樹
日本美容外科学会正会員・認定医
日本美容外科医師会正会員
日本抗加齢医学正会員
<院長略歴>
95年 聖マリアンナ医科大学卒業
03-06年 医療法人博済会鈴木病院 美容外科外来開設
06年 池袋サンシャイン美容外科開設