赤黒く変色し、醜く盛り上がった傷跡。昔ひっかいて、白くなって残っている傷跡。
そんな傷跡に、人知れずコンプレックスを抱えている方は少なくありません。
特に、肥厚性瘢痕やケロイドと呼ばれる傷跡は自然治癒が難しく、きれいに消すためには皮膚科や美容外科で治療を受ける必要があります。
ここでは、傷跡の種類や適切な治療方法などをご紹介します。
傷跡の種類
傷跡にはさまざまな種類があります。そして、種類によって治療方法も異なります。以下に主な傷跡の種類をご紹介します。
成熟瘢痕
最初は赤みを帯びていた傷跡が、時間の経過と共に肌色〜白色に近づいたものを「成熟瘢痕」と呼びます。
この状態になるとすでに炎症などは治まっているため、見た目が気にならなければ放置していても支障はありません。
肥厚性瘢痕
傷跡がミミズ腫れのように腫れあがった状態を「肥厚性瘢痕」と言います。
傷が深い場合や、首や関節などのよく動く場所に傷を負った場合などにできやすいとされています。
肥厚性瘢痕の状態では炎症が断続的に持続しており、完全に治まるまでには長くて5年ほどの時間がかかるケースもあります。
ケロイド
肥厚性瘢痕の炎症がさらに強くなったものを「ケロイド」と言います。
ケロイドの発症には傷の深さだけでなく、生まれながらの体質なども関係しています。このため、ほんの小さな傷であってもケロイドになってしまう人もいます。
ケロイドは見た目的にも目立つため、コンプレックスに感じる人も少なくありません。しかし、早期に適切な治療を受ければ、完治させることも可能です。
瘢痕拘縮
肥厚性瘢痕やケロイドを放置したり、効果があまりない治療を続けたりしていると、患部が徐々に硬くなり「瘢痕拘縮」という引き攣れを起こすことがあります。
ひとたび瘢痕拘縮を起こしてしまうと、柔らかさを取り戻すまでにかなりの時間を要するため注意が必要です。また、場合によっては手術が必要となるケースもあります。
傷跡の治療方法
傷跡を悪化させないためには、正しい治療方法の選択が大切です。
塗り薬
炎症の程度が軽い肥厚性瘢痕であれば、塗り薬で治癒するケースもあります。塗り薬には、ステロイド軟膏、非ステロイド系抗炎症剤、ヒルドイドソフト軟膏などが用いられます。
ただし、ケロイドにまでなってしまうと、塗り薬のみでの治癒は難しいとされています。
飲み薬
飲み薬としては、抗アレルギー剤のトラニラストや、漢方薬の柴苓湯が有効です。これらの薬には、肥厚性瘢痕やケロイドの炎症を抑え、痒みなどの症状を沈静化させる効果があります。
効き目が現れるまでには時間がかかるため、基本的にはその他の治療方法と組み合わせて用いられます。
貼り薬
貼り薬は、ドレニゾンテープやエクラープラスターなどのステロイド系が用いられます。
特に、皮膚が厚い大人には、エクラープラスターが優れた効果を発揮します。
一方、皮膚が薄い小児であれば、ドレニゾンテープでも十分に効き目があります。
継続して使用することで、肥厚性瘢痕やケロイドの改善効果が認められますが、体質によってはかぶれなどが生じるケースもあります。
注射
傷跡の状態によっては、ステロイドを直接注射することもあります。
注射によって、赤みや盛り上がり、痒みなどの症状はかなり軽減されますが、効果が強く現れすぎると、却って傷跡が凹んでしまうケースもあります。
また、患部周辺の皮膚が薄くなり毛細血管が拡張してしまう、傷跡が硬い瘢痕になっている場合は注射の際に痛みがある、女性では生理不順が生じるケースもある、など、効果が強い分、副作用にも注意が必要な治療方法です。
レーザー
血管の数を減らす作用のある「血管作動性レーザー」は、ケロイドの治療に有効です。代表的なものとしてはNd:YAGレーザーが挙げられます。
手術
瘢痕拘縮の原因となりうる傷跡や、顔面など審美的に目立つ場所にある傷跡に対しては、手術の適応となるケースもあります。
これまで、炎症の強い肥厚性瘢痕やケロイドは、手術で切除をしてもその傷跡に再発し、より状態が悪化する恐れがあるため、安易な手術は禁忌とされてきました。
しかし近年は、術後に放射線治療などを組み合わせることにより、重度の肥厚性瘢痕・ケロイドであっても完治させられるようになりました。
ただし、手術の成否は術者の技量に大きく左右されるため、こうした治療を受ける際には十分な治療実績を持つ病院を選ぶべきです。
市販品で消すことのできる傷跡とは
アットノンやオロナインなどのクリームは有効?
ドラッグストアなどでは、アットノンやオロナインなど、傷跡の改善に効果があるとされるクリームが売られています。
かすり傷など、ごく軽症のものであれば、それらのクリームで改善するケースもありますが、肥厚性瘢痕やケロイドは残念ながら市販薬できれいに消すのは難しいと言えるでしょう。
市販薬を試してみてもなかなか改善しない場合や、すでに肥厚性瘢痕やケロイドになっている場合は、傷跡を悪化させないためにも、早めに専門の医療機関を受診することをおすすめします。
皮膚科や美容外科などの病院、医療機関では
傷跡の治療は、皮膚科や美容外科などの病院、医療機関で受けることができます。
こうした専門機関では、塗り薬や飲み薬、貼り薬などによる治療のほか、レーザーや手術など高度な治療も行われています。
傷跡をしっかり治したいと考えるのであれば、皮膚科や美容外科などを掲げる病院・医療機関で、適切な治療を受けることが大切です。
池袋サンシャイン美容外科での治療方法
池袋サンシャイン美容外科では、リストカットや手術、交通事故などで出来た傷跡・ケロイドの治療を行っています。
リストカットなど、昔の傷跡
リストカットや、過去に受けた手術の傷跡などを消したい方には、皮膚切除手術とレーザー治療を行っています。
皮膚切除手術
皮膚切除手術では、肥厚性瘢痕やケロイド、瘢痕拘縮を起こしている患部をメスで切り取り摘出します。局所麻酔をするので、痛みの心配はありません。
患部を摘出した後は、瘢痕やケロイドが再発しないよう、傷の方向などを考えながら丁寧に縫合します。
レーザー治療
レーザー治療とは、患部にレーザーを当てて皮膚の再生を促し、傷跡を目立たなくする治療方法です。当院では、スターラックス1540という医療用レーザーを使用して治療を行っています。
レーザー治療は、皮膚切除手術に比べると、体へのダメージが少ないのが最大のメリットです。治療中の痛みもほとんどなく、治療の後はすぐに化粧をすることが可能です。
交通事故の傷跡・ケロイド
交通事故に遭い、救急で処置を受けた結果、大きな傷跡が残ってしまったというケースは珍しくありません。
醜い傷跡を見るたびに事故のことを思い出す、審美的に気になる、ケロイド体質で治療を行ってもなかなか改善しない、そんなお悩みにも池袋サンシャイン美容外科は対応しています。
交通事故の傷跡では、傷の程度にもよりますが、まずは手術で患部を摘出した後に、レーザーで治療を行います。もとの傷跡だけでなく、手術痕もきれいに治すことができるため、多くの患者様から満足のお声をいただいております。
救急などで皮膚縫合の手術を行ってから1カ月程度経過すれば、治療を開始できますので、ぜひお気軽にご相談ください。
※傷の状態によって、細かな治療は異なります。来院の際には、最初の治療を行った病院の診断書を持参していただけると、スムーズに治療を進めることができます。
監修者情報
医療法人社団 栄真会
池袋サンシャイン美容外科
院長 鈴木 栄樹
日本美容外科学会正会員・認定医
日本美容外科医師会正会員
日本抗加齢医学正会員
<院長略歴>
95年 聖マリアンナ医科大学卒業
03-06年 医療法人博済会鈴木病院 美容外科外来開設
06年 池袋サンシャイン美容外科開設