傷跡が赤黒く盛り上がり、肉体的にだけでなく、精神的にも大きな負担となる「ケロイド」。
時間が経てば自然に治るだろうと放置する人もいますが、残念ながらケロイドにまで悪化した傷が自然治癒する可能性はほとんどありません。
では、ケロイドを放置するとどんな危険があるのでしょう。ここではケロイドの症状や原因、一般的な治療方法と合わせて、ケロイドを放置する危険性についてご紹介します。
ケロイドとは
ケロイドとは?
ケロイドとは、傷口が炎症によって肥厚し、赤黒く盛り上がったものを言います。全身のどこにでも出来る可能性があり、顔や首、腕などひと目につきやすい場所に出来ると、肉体的にだけでなく、見た目にも悪影響を及ぼす場合があります。
ケロイドの症状
普通の傷は時間の経過と共に自然と治癒していきますが、ケロイドは患部が赤黒く盛り上がったまま治らないという特徴があります。また、かゆみや痛みを感じたり、ものに擦れて出血したりするケースもあります。
ケロイドの主な原因
すり傷や切り傷などの怪我
怪我はケロイドの一番の原因です。すり傷や切り傷、交通事故による傷など、さまざまな怪我がケロイドの原因になります。
ニキビなどの皮膚疾患
ニキビや毛嚢炎のような皮膚疾患もケロイドの原因になります。特に、治りの悪い炎症はケロイドのリスクを高めます。
ピアス穴から入る細菌
ピアスホールを不衛生にしていたり、自分の体質にとってアレルギーのピアスを使い続けていたりすると、ケロイドになる可能性があります。
リストカットの傷
リストカットの傷もケロイドの原因の一つです。中でも傷が深い場合や、同じ場所を繰り返し傷つけた場合は危険度が高まります。
ケロイドになりやすいケースとは
傷が深いとき
私たちの皮膚は表皮と真皮で成り立っていますが、真皮の中でも深い部分に傷や炎症が及ぶとケロイドになりやすいことが分かっています。そのため、深い傷や治りの悪い炎症はケロイドのリスクを高めると言えます。
傷の治りが遅いとき
怪我や炎症の程度が軽く、数日も経てば自然に治ってしまうような傷はケロイドにはなりません。逆に、怪我や炎症の程度が重く傷がなかなか治らないと、患部が肥厚しケロイドになってしまうケースがあります。
傷に力がかかっているとき
胸や肩、下腹部、関節など、日常の動作で繰り返し皮膚が引っ張られる場所の怪我は、常に傷に力がかかっている状態のため治りが悪く、それ以外の場所に比べてケロイドになりやすいと言えます。
妊娠しているとき
妊娠により血液量や女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が増加すると、血管が拡張される・毛細血管が増殖するなどの変化が起こります。それによりケロイドや、ケロイドの前段階である肥厚性瘢痕が悪化することが知られています。
高血圧だったとき
一見ケロイドとは関係のなさそうな高血圧も、ケロイドを引き起こす原因の一つです。高血圧とは血管が固くなり血流が悪くなった状態を言います。そうした状態がケロイドに悪影響を及ぼします。
強い炎症反応を起こすとき
前述の通り、ケロイドとは傷口の炎症がなかなか治まらず肥厚した状態を言います。そのため、大きな怪我や病気などで全身に強い炎症反応がある場合は、そうでない場合に比べて小さな傷もケロイドになりやすいと言えます。
遺伝で体質を受け継いでいるとき
ケロイドになりやすい体質が親子で遺伝することもあります。そういった人の場合、重症のケロイドを発症する・浅い傷でもすぐにケロイドになってしまうなどの症状がみられることも少なくありません。ケロイド体質の遺伝については、現在は遺伝因子の研究が進められています。
ケロイドの一般的な治療方法
薬による治療
飲み薬
飲み薬による治療ではトラニスト(リザベン)が用いられます。抗アレルギー剤のトラニストには炎症を鎮める作用があります。これにより、かゆみなどの症状を緩和したり、病変自体を沈静化させたりする効果が期待できます。
貼り薬
貼り薬による治療ではドレゾニンテープやエクラープラスターなどのステロイドテープが有効です。中でもエクラープラスターは皮膚が厚い大人にも効果があるため、ケロイド治療の現場でも重用されています。
塗り薬
塗り薬による治療ではアンテベートなどのステロイド軟膏・クリーム、非ステロイド系抗炎症剤、ヒルドイドソフト軟膏などのヘパリン類物質などが用いられます。しかし、ケロイドにまで悪化した患部を塗り薬のみで治癒させるのは難しいのが現状です。
手術による治療
薬による治療では十分な効果が得られない場合や、ケロイドが目立つ場所にあり審美的に問題がある場合は、手術による治療もよく検討されます。
しかし、ケロイド体質の人の場合は手術痕が新たなケロイドになってしまう可能性もあるため、慎重な判断が必要です。
その他の治療
上記に挙げた治療以外には、患部にステロイドを注射する治療方法や、レーザーを使った治療方法などがあります。
また、胸や肩、関節など、皮膚が頻繁に引っ張られる場所にケロイドが出来や場合は、その部分をシリコーンテープやサージカルテープ、包帯、腹帯、サポーターなどで固定し安静を保つ治療方法も有効です。
ケロイドを放置する危険性
ケロイドを放置すると、時間の経過と共にケロイドが大きくなったり、患部の引きつれやかゆみ、痛みなどに悩まされたりする恐れがあります。
人によってはケロイドが痛がゆくて夜も眠れないケースや、衣類の金具などがケロイドに擦れて度々出血してしまうケースもあり、日常の生活にも深刻な影響を及ぼしかねません。
肘や膝、肩などのケロイドが重症化すると拘縮と呼ばれる症状を引き起こし、関節が動かないなどの機能障害を生じる場合もあります。その結果、仕事や生活に問題が生じる可能性も懸念されます。
また、部位によっては、ケロイドは精神面にも大きな影響を与えます。特に、顔面にケロイドが出来ると、それが原因で人前に出るのが怖くなってしまう人も少なくありません。
このように、ケロイドを放置するとさまざまな問題を引き起こしかねないのです。
ケロイドが治らないは間違い?当院の治療は
ケロイドは治すことができる
ひとたびケロイドが出来てしまったら一生治らないと思っている人は少なくありませんが、それは間違いです。専門医による適切な治療を受ければ、ケロイドを治すことは可能です。
池袋サンシャイン美容外科では、ケロイドに対するさまざまな治療を行っています。
当院での治療方法
手術
当院では傷跡修正手術による治療を行っています。ケロイド化した患部をメスで切除し、傷口をきれいに縫合して目立たなくする治療方法です。小さなケロイドであればカウンセリングの後にすぐに治療を開始することも可能です。
すぐにケロイドをなくしたい人や、手術以外の方法では十分な治療効果が得られなかった人にも有効な方法です。
レーザー
最新の医療用レーザー機器・スターラックスを用いた治療も、当院では積極的に活用しています。レーザーにより皮膚に小さな穴をあけ、その穴が治癒する過程で皮膚の再生を促し、ケロイドの症状を緩和する治療方法です。
その他の治療
手術に併用して新たな傷のケロイド化予防に効果があるリザベン内服薬を用いる場合や、プラセンタローションや高濃度プラセンタクリームによる皮膚再生療法を行うケースもあります。
また、前述したステロイド注射(ケナコルト注射)も行っていますが、盛り上がりの少ないケロイドに注射をすると皮膚が陥没してしまう恐れがあるため、慎重な判断が必要となります。
以上、当院では、薬から手術まで幅広い方法でケロイド治療を行っております。自分の体にできてしまったケロイドでお悩みなら、ぜひ当院にご相談ください。
幅広い治療法の中から、適切な治療法をご提案致します。
監修者情報
医療法人社団 栄真会
池袋サンシャイン美容外科
院長 鈴木 栄樹
日本美容外科学会正会員・認定医
日本美容外科医師会正会員
日本抗加齢医学正会員
<院長略歴>
95年 聖マリアンナ医科大学卒業
03-06年 医療法人博済会鈴木病院 美容外科外来開設
06年 池袋サンシャイン美容外科開設