気温が高くなるにつれて発汗する量が増える人がいる一方、年間を通して異常な量の汗をかくことに悩んでいる人もいます。
日常生活に支障をきたすほど重度に汗をかく疾患を「多汗症」といいます。
「汗っかき」と似ていて治療を先延ばしにしがちな多汗症ですが、実際の治療はどのような方法で行うのでしょうか?
今回はその治療法や自己診断の基準、より安く施術を受ける方法をご紹介します。
そもそも多汗症とは?
多汗症には汗をかく部位によって「全身性多汗症」と「局所性多汗症」の二つに分類されます。
全身性多汗症は、背中や足、腹部など、全身に多量の汗をかく疾患のことを指します。
多汗症患者の中で全身性多汗症が占める割合は少なくなっています。
局所性多汗症は、手のひらや足の裏、ワキ下などを主に、ある一部から多量の汗をかくことを指します。
手のひらや足の裏の多汗症は「掌蹠多汗症(しょうせきたかんしょう)」と呼ばれます。
多汗症という汗の疾患がある一方、よく耳にする「汗っかき」との明確な違いはなんなのでしょうか?
以下の項目をチェックし、自分が多汗症かどうか判断しましょう。
多汗症自己チェックシート
1)日常生活で、汗を原因として困ることがよくある
2)緊張すると手のひらやワキの下に汗をかく
3)ワイシャツなどのワキの下に黄ばんだ汗ジミができる
4)新聞や書類などを触ると紙が濡れる
5)電車やバスのつり革・車のハンドルが濡れることがある
6)体臭が気になる
多汗症の原因は生活習慣、体質、ストレス、ホルモンバランスの乱れなど様々です。
多汗症の治療には、生活習慣の改善やストレスを減らすことのほか、美容外科などでの外科手術やボトックス注射、治療薬の使用が効果的とされています。
次に、病院で行われるそれぞれの治療法の違いについてご説明します。
多汗症の治療とは?
多汗症の治療には大きく分けて3種類あります。
- 手術
- ボトックス注射
- 治療薬
それぞれどのように治療していくのか確認していきましょう。
手術
汗をつくる交感神経を切断する外科手術を行います。
多汗症の症状が重く、ボトックス注射や治療薬の治療効果がみられないときに手術となる場合があります。
神経切断による代償性発汗(処置を行ったワキの発汗が収まる代わりに、背部、腰部などの汗が増えること)が発生することもあるため、実施する場合は医師から十分な説明を受ける必要があります。
神経切断のほかに、直視下反転剪除法という手術方法があります。
直視下反転剪除法とは、ニオイのもとである「アポクリン汗腺」と「エクリン汗腺」を切除するため、ワキの下の皮膚をワキのシワに沿って切開する治療法のことをいいます。
神経や汗腺へ直接的な処置を行っているため、大きな効果を実感できることがほとんどです。
しかし、どちらの施術も切開を行うため、手術を受けたあとのダウンタイムが長く、期間は1~2週間の安静が求められます。
また、切開をする際に傷あとが残るなど、外科手術にはリスクが伴うため、手術を受けるには慎重な判断が必要です。
ボトックス注射
交感神経から伝達される汗の信号を、ボツリヌス菌を用いた注射でブロックし、過剰な発汗を抑えます。
ボトックス注射は直接ワキに行います。
注射での施術であるため、傷は残らない上、ダウンタイムも圧倒的に短いのが最大のメリットです。
ボトックス注射は注射のみで効果を実感することができますが、外科手術に比べて持続時間が短くなります。
通常3ヶ月~半年かけて徐々に体内へ吸収されることが多いです。
保険適応での多汗症治療は、ワキの手術のみしかすることができませんが、ボトックス注射であれば、手のひらや足の裏の汗の改善をすることが可能になります。
症状が比較的軽度の場合や、ワキではない部位の多汗に悩んでいる方には、ボトックス注射での治療がおすすめです。
治療薬
治療薬を用いた多汗症治療には塗り薬と内服薬があります。
塗り薬
塩化アルミニウムなどを有効成分とするお薬を、ワキの下に塗る治療法です。
毎日塗り続けることで徐々に効果を実感することができますが、持続期間が短いため、反復してお薬を使用する必要があります。
こちらの塗り薬は、医薬品として承認されているものがありません。
ですので、病医院で調合したお薬が処方される形になります。
内服薬
漢方薬や抗コリン薬などの多汗症治療薬として承認されたお薬を使用します。
塗り薬やボトックス注射とは違い、身体の広い範囲へ効果を及ぼすことがメリットです。
塗り薬やボトックス注射での効果がみられなかった場合などに利用される手段とされています。
以上の治療法は、一般病院の外科にて行われるイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
しかし、最近では、美容外科や皮膚科などでも多汗症への治療が実施されるようになりました。
中でも美容外科は見た目の美しさも重要視しているため、外科手術の切開で、傷がより綺麗に治癒されるよう工夫がなされています。
池袋サンシャイン美容外科では、保険適応で外科手術を受けることができます。
外科手術での傷あとをよりきれいに治すことをお望みの方は、池袋サンシャイン美容外科などでの多汗症治療をおすすめします。
多汗症治療には保険は適用される?
なるべく安く多汗症治療をするには、保険適応の施術を選ぶことがポイントです。
保険適用の条件について
多汗症治療に保険が適応されるのは、「重度の多汗症」であると診断された方のみになります。
ただワキ汗が多いという場合は保険適応とならず、一定の基準を満たす患者に対してだけ保険が適応されます。
保険適応となる手術は、重度症状の患者のみが受ける「直視下反転剪除法」などの外科手術や、効き具合を伺うために重度症状の患者が受けるボトックス注射の二つが主となっています。
美容外科で保険適応がされている例として、池袋サンシャイン美容外科の直視下反転剪除法での治療が挙げられます。
池袋サンシャイン美容外科では、外科手術のみに保険が適応されており、ボトックス注射は自費となっています。
まとめ
多汗症の治療法は、外科手術・ボトックス注射・治療薬を用いた治療の大きく3つに分かれます。
安く治療を受けるには、保険適応がされている病院を選ぶことがポイントです。
中でも外科手術は保険適応としている病院が多いですが、劇的な効果が得られやすい分リスクも存在します。
自分の症状の進行度を知り、自分にあった治療法で多汗症による悩みを解消しましょう。
監修者情報
医療法人社団 栄真会
池袋サンシャイン美容外科
院長 鈴木 栄樹
日本美容外科学会正会員・認定医
日本美容外科医師会正会員
日本抗加齢医学正会員
<院長略歴>
95年 聖マリアンナ医科大学卒業
03-06年 医療法人博済会鈴木病院 美容外科外来開設
06年 池袋サンシャイン美容外科開設